口を使い直さないように

これは、トマティス発声コース(CAV)において、母音発声指導の際にトレーナーがよく言う言葉です。

CAVの発声法は省エネ。最小のエネルギーで最大の効果を生むこと。

AIUEOの母音発声も、いくつかの約束事を踏まえたうえで、それぞれの母音の舌のポジションと、息の方向性を意識することで、安定したものになりますが、つい私たちの体はいろいろなことをやりたがります。必要以上に口の中を大きく開けたり、必要以上に口周りを動かしたりしてしまいます。それを「口を使い直す」と言っています。

やたらに動かすと、響きも変わり、声に一定感がなくなり、見た目も音も少々騒がしい感じになる。「動かす」ことより、響きの一定感を「聴く」ことを優先させると無駄な動きはなくなる。それが静けさと客観性を生む…。コミュニケーションにおける

客観性はとても大切で、それが発声の仕方で導かれるというのは面白い。トマティス発声の真髄は、こういうところにあるんだな、とあらためて思います。

そういえば、茶道のお手前も、一見、手数が多いように思うが、動きは合理的そのもので無駄がない。理にかなった(=無理がない)動きはやっぱり美しい。